ヤマハ・ディバージョン・さよならミニツーリング 2005年9月30日(金)

 12年間つき合ったヤマハディバージョン
とお別れする日が来た。ツーリングの時ぐ
らいしか乗ってやれなかったし,車検と車
検の2年間でまったくオドメーターが回っ
ていないという時期もあった。でも,いざサ
ヨナラするとなると別れがたいものがある。
 特に,9年前の北海道ソロツーリングで
は,いろんな景色,風のにおいを共有して
共に走った頼りがいのある相棒だった。
 明日,バイク屋さんが引き取りに来る。
そこで最後の走りを共にすべく,半日ミニ
ツーリングを思い立った。
「さあ最後のひと頑張り,頼むぞ!」と出発の準備

 目的地を長崎県佐世保方面と決め,2時15分出発,5,6分で佐里コスモス遊園を過ぎて佐里温泉
に着く。考えてみれば,この地元のスポットにもバイクで来ることはなかったなと思い,最初の停車地と
した。ここは旧東松浦郡相知町佐里であったが,市町村合併により2005年1月1日より唐津市相知町
となった。文字通り唐津の奥座敷となったわけである。佐里温泉は,ピラミッド型の女湯と備長炭を敷き
詰めた男性用露天風呂などで人気がある。
ピラミッドは佐里温泉のシンボル ここの花畑はまだコスモスも3分咲き

 佐里温泉を出て小さな峠を越えると伊万里市である。天気は秋晴れ,9月も今日で終りというのに長袖
のジャケットでは汗ばむくらいの暑さである。そんなに先を急ぐわけでもないので,伊万里市に入ってすぐ
の田んぼに彼岸花を見つけたので停まってみた。
もう稲刈りが終わった田んぼもある 彼岸から一週間,彼岸花(曼珠沙華)もそろそろ終り

 伊万里バイパスから佐世保市に抜ける国見有料道路への道に入る。適度のワインディングにバイクをま
かせて,ゆっくり味わうように登る。料金所近くの路側にバイクを停めると,下界には伊万里市や有田町方
面が望める。刈り取りの時期を迎えた田んぼが黄色く色づいて美しい。
 料金所を過ぎると国見トンネルである。これが佐世保への最短距離であるが,急ぐ必要はない。料金所
手前で右折して旧道に入り,栗の木峠に向かう。
すでに稲刈りの終わった田んぼもある 料金所を横目に見て旧道に入る

 両側一車線の曲がりくねった道を登る。国見トンネルが出来る前は,この道が伊万里と佐世保を結ぶ
主要道路であった。冬は積雪で難儀を極めたであろう。今も,冬ここを走ると深い雪に驚かされるときが
ある。峠には天然水のわき水があり,ポリタンクを数個持った年輩の二人連れが水を汲んでいた。
 しばらく待って,冷たい水で顔を洗い,手ですくって一口含み。天然水のうまさが口に広がる。この一口
のために,ここまで缶ジュースを飲まずにきたのだ。
栗ノ木峠,向こうがわき水の場所 水を汲む人の姿が絶えない人気の天然水
きれいな蝶にハンドルを取られて・・・ ひょいと手に載ってきたよ
栗ノ木峠の先の分岐を佐世保方面に向かう 旧道と国見有料道路の合流点

 九十九島の夕陽のスポット船腰展望台に着いたが,まだ午後4時30分で,日没まで時間があるので
石岳動植物園前を通過していったん海岸線に沿って走り,同じく夕陽のスポットである展海峰に向かう。
ハンドルの向こうに光る海 船越展望台から見た九十九島

 展海峰はコスモスで有名であるが,ここもまだ3分咲きといったところで,来週末の3連休あたりは観光
客でにぎわうだろう。この日はまだ見物の人もちらほらという感じであった。
案内板の向こうにコスモス畑が広がっている 夕方になって曇ってきたので花の色も今ひとつ
右奥は佐世保港,左の山は石岳 語らいの中,ゆっくりと時間が過ぎていく

 展海峰を出て船越展望台に戻ろうとしたが,日没までまだ時間があるので白浜海水浴場に向かう。
海水浴場の入り口は以前は砂浜まで車が入れたが,鎖で通れなくなっていた。そこで反対側の船溜
まりに行ってみた。静かで風もなく,水面は鏡のように船影を映していた。バイクを止めてしばらくディ
バージョンとの時間を過ごす。
結構好きだったな,このフォルム ディバージョンと過ごすこんな時間ももう最後

 再び船越展望台まで戻る。時刻は午後5時40分。日没までもう少し時間があるようだが,もう何人か
のカメラマンが三脚を立てていた。しかし,今日は秋晴れの天気だったが,夕方から雲が広がりはじめ,
水平線近くは厚い雲で覆われている。これでは完璧な日没は見ることが出来ないと思い,2,3枚スナ
ップしてバイクを出発させた。
このあと,厚い雲に阻まれそうな夕陽 有名な夕陽スポットだけにカメラマンが多い
観光船の発着所がある鹿子前で,今日は何枚でも撮ってやりたいディバージョンの勇姿を・・・

 時間に余裕があれば,佐世保市を出て小佐々町〜鹿町町と海岸沿いを走りたいところだが,秋の日
の落ちるのは早い。そこで,平戸市への最短ルートである国道204号線を北上する。佐々町,江迎町
と約45分ほど走って,午後6時半頃,北松浦郡田平町に入ってすぐの道の駅「昆虫の里たびら」で
休憩する。
 あとで知ったのだが,この田平町は,翌10月1日に平戸市と合併した。このあと数時間で田平町が消
滅するという時に,自分もディバージョンとのさよならツーリングをしていたのだ。この道の駅は,昆虫
が観察できる自然公園やクワガタやカブトムシの販売などで人気があるようだが,平日の日暮れ過ぎ
ということもあって,停まっている車も数台で閑散としていた。その静かさの中で,下の写真の田平町の
電光掲示板は,最後の輝きを放っていたというわけだ。
午後6時33分,田平町最後の日に道の駅「昆虫の里たびら」で

 10分ほど休憩したあとしばらく走り,<左〜平戸方面>の案内板に導かれて左折すると,もうそこは
平戸大橋の入り口であった。今日はこの橋を通って平戸島に渡る時間はない。料金所前でUターンし,
国道204号を松浦市方面に向かう。
まだ有料だったのか,平戸大橋入り口料金所で バックが平戸大橋なんだけど,ピンぼけ

 平戸大橋料金所前を出て,しばらく下り右カーブを登ると,あとは海沿いに走り松浦市に向かう。ほと
んど対向車もない道を快調に走る。8月の四国ツーリングでは不調だったイグナイタの状態も,だ。最後
の一頑張りを見せているのか問題ないようだ。
 松浦火力発電所を右下に見ながらしばらく走ると松浦市街に入る。市街の入り口付近に,「海のふるさ
と館」という看板が見えたので最後の小休止とする。
ここまで来ると,あともう一走り 眺めていると,たくさんの思い出がよみがえる
さよならツーリングもあとわずか,最後の勇姿を・・・

 松浦市から伊万里市に入る。ふと思い出して途中で左折し,まだ走ったことのなかった伊万里湾
大橋に向かう。渡ったところで右折すると伊万里市街地だが,同じ道を走っても面白くないと,左折
して波多津方面に向かう。途中で右折して唐津市北波多への山道を抜けて,自宅に着いたのが
午後8時半少し前であった。
 最後の直線でアクセル全開した余韻を残しつつ,無事にさよならツーリングの幕が降りた。明日は
バイク屋の人の手に渡るディバージョンをいたわりつつ車庫におさめた。
午後8時26分,無事帰着 最後の走りとを終えて車庫に納める
愛犬ハッピーもお出迎え 総走行距離はまだわずか11,491Km

後日談・・・というかその次の日
 翌日10月1日,バイク屋さんから電話あり,あと1週間後ぐらいだと思っていた新車スカイウエイブ
400Limitedの納車が今日出来るという話。それなら自分で取りに来ますということで,ディバージョ
ンを自走で持っていくことになった。ということで,自宅から市内のバイク屋までの16Kmが正真正銘
のラストランとなった。
15時25分,最後の走りに出発 販売店の店先で最後の姿を これが最後の走行距離計

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