灼熱の夏,鹿児島ツーリング 2006年8月14日〜16日
日目 8月14日(月 小浜〜口之津〜鬼池〜本渡ー牛深〜長島〜阿久根〜川辺
日目 8月15日(火 川辺〜鹿児島〜霧島温泉
日目 8月16日(水 霧島温泉ーえびの高原ー水俣港〜本渡港ー鬼池港〜口之津港〜小浜
 夏〜何でまた,ことさら暑い南国鹿児島へ?
 真夏日の連続で,今年の夏は記録的な猛暑が続いていた。そんな中に,何でまた暑い南国鹿児島へ
と思うのであるが,強いてその理由を挙げれば,開聞岳に登ろうという一点のみである。薩摩半島の先端
にすっくと立つ薩摩富士の異名のある開聞岳。もう10年以上も前にツーリングで来てその端麗な姿を
仰いで以来,いつか登ってみたいと思っていたのだ。今回も同行のK氏と意見が一致して,夏季休暇を
利用して出かけることにした。
 コースは,混み合う3号線を避けて,長崎県島原半島〜熊本県天草島〜鹿児島県へと,フェリーを乗
り継ぐ九州西海岸沿いのルートを選択した。ところが,一日目,走り初めて1時間も経たないうちにトラ
ブル発生。うーん,何か不吉な予感が・・・。

日目 2006.8.14

我々としては早い出発予定時間であったが・・・
 確か打ち合せでは8時ぐらいの出発にしていたが,今回は私の準備不足で結局9時30分の出発となる。
結局この1時間半の遅れが,あとで大きな意味を持ってくるとは,二人とも全く予想だにできなかったのだ。
 今回はK氏も無線対応で,430Mhz帯で二人で話しながらのツーリングとなる。また,私はミュージック
プレーヤーも準備してきたので,結構退屈せずにリズムに乗って走ることができた。無線が入ってくると,
自動的に音楽がミュート状態になる設定でとても快適であった。
 12時少し前に島原半島の付け根にあたる愛野展望所に到着する。今日も天気が良く,気温も高い,とに
かく水分だけはしっかり取らなければならない。
私はスカイウエーブ400,K氏は125CCのカワサキのオフロード車
愛野展望所で小休止,給水タイムとする

いきなり,第一のトラブル発生
 愛野展望所からK氏の先導で海沿いの旧道を行く。狭いトンネルや道路近くまで立て込んでいる家など,
ここはずーっと昔からの雰囲気を残している道で大変風情がある。今度いつかもっとゆっくり走ってみたい。
 小浜温泉の手前でその旧道から別れて国道に出た。しばらくぶりの広い道に,少しアクセルを開き気味に
快走していると,無線でK氏の声,「トラブルが発生,バイクの故障で止まったので戻って来てきてください。」
 500mほど戻った場所にK氏のバイクがある。なんと,はずれたチェーンがスプロケットに巻き付いている。
センタースタンドがないので,近くから木材を借りてバイクを浮かせる。最初はなかなかはずれなかったが,
力を入れて引くと,やっとチェーンがはずれた。幸いギアには影響なく,チェーンをはめて無事修理完了。
 原因はチェーンの調整ミス。バイク乗りとしてはまさかの基本的なミスである。この間,約30分のロスである。
すでに午後1時を回っているが,昼食もあとにしてとにかく口之津港へ急ぐことにする。
暑い中,限られた道具で何とかトラブルを解決しなければならない。こんな苦労もツーリングにはつきものさ。

気を取り直して,フェリーを乗り継ぐ
 温泉街小浜市の中心部の温泉街を抜けると青い海,青い空が広がってきた。島原半島をぐるりと一周する
国道251号は,小浜市を過ぎれば通行量も少なくとても快適に走行できる。右前方にはこれから渡る天草島
が見えている。   
 
島鉄フェリー(長崎県口之津港〜熊本県鬼池港)
 島原半島の南端の口之津からは島鉄フェリーで天草島の鬼池港に渡る。ここは30分間隔で運行している
ので,ほとんど待ち時間はない。所要時間30分。自動二輪の航送料金は680円(125CC以上750CC未満)で
大人料金は360円。
 本渡市を出たところで遅い昼食をとる。その後,海岸線沿いに南下したが,幹線から離れたためにかなり遠
まわりとなって時間をロスすることになった。牛深港に着いたときは午後5時になろうとしていた。
 
三和フェリー(熊本県牛深港〜鹿児島県蔵之元港)
 天草下島南端の牛深港と鹿児島県長島町蔵之元港を結ぶ。約1時間間隔で運行していて,所要時間は30
分。料金はバイクが850円(125CC〜750CC),大人480円となっている。17:20発の便に乗船。
口之津港に14時少し前に到着し14時15分発の便に乗船,所要時間は30分である。
島鉄フェリー,所要時間は30分で,横になってゆっくりする時間はない        島原半島が遠ざかっていく
三和フェリー,牛深港のフェリーターミナルにて      17時20分発の便に乗船する  
ツーリングのバイクは我々の2台のみであった 長島の海の玄関口蔵之元港
 

二番目のトラブル?夕立により雨宿り
 蔵之元港のある長島は鹿児島県出水郡長島町で,港から続く島内の道は海沿いにアップダウンを繰り返し
ながら南下する。港から十数Kmほど走れば,やがて目の前に黒之瀬戸大橋が見えてくる。この橋を渡って
鹿児島県阿久根市に入る。
 この頃から空模様が段々と悪くなってきた。やがて,空からポツリポツリと雨が落ちてきた。大きなスクリーン
のある私のスカイウエーブは,少々の雨はなんとかなるが,オフロード車の友人は早々とレインウェアーを着
込んでいる。しばらくは辛抱しながら走っていたが,大粒の夕立になってきたので,ついにお盆休業中の写真
館の軒下を借りて雨宿りということになった。
スカイウエーブがお先に阿久根市に入ります 肩越しに一枚(私のメットが写っています)
小さな町に立派な写真館,写真のモデルの人たちの表情からこの町の空気が伝わってくるようです

日暮れて道遠し
 幸いにも雨は夕立で終り,我々はまた走り出す。途中,夕陽が余りにも綺麗なのでバイクを止めて一枚
だけ撮影する。なんと,海にそのまま沈んでいく太陽は初めて見たような気がする。空と海がつながって
いる。よくありそうで,実はなかなかそのチャンスには巡り会わないかも知れない貴重な一枚である。
 めざす開聞岳キャンプ場まではかなりありそうだ。スカイウエーブに搭載のナビを頼りに走るが,地図の
DVDのDiscが古くなっている。たまに,ナビには出ていないが新しくできたと思われる道に出会う。近道か
と思い入り込んで結局迷って遠回りというパターンがある。
こうなれば,目的地まで着けずに途中でキャンプということもあるかもしれないということで,コンビニに寄
って食料を買い込む。結果的にはこの判断が不幸中の幸いとなるのだが・・・。
先を急いでいたが海に沈む夕陽が余りにも綺麗で,この一枚だけ撮影(午後7時4分)
とにかく食料だけは確保しておこうとコンビニで買い出し(午後7時30分)

友人のバイクがパンク,公園にてゲリラキャンプ
時間的にはかなり遅くなっていたが,まだ目的地まで走ると言う方針で頑張っていたが,途中で何度か道に
迷ううちに時間はどんどん過ぎていった。そしてある集落を過ぎたところで万事休す。友人のバイクの後輪が
パンクという緊急事態。仕方なく,集落まで戻ってキャンプできそうなところを探す。
キャンプ場ではないが,小学校の横の空き地ならなんとかできそうということで,午後11時近くになっていたが
荷物を降ろし,テントを張る。すぐ近くにトイレがあるし,水道,電気が使えてなかなか便利ではあった。しかし,
すぐ近くには住宅はあるし,派出所も学校もある。無許可キャンプということで,明日一番には不審尋問かな
と,覚悟を決めてのキャンプであった。
位中で,何とかテントを張って,食事をする頃には日付が変わっていた
カワサキKDX,パンクした後輪はタイヤもダメになりそう,日頃からの点検を大切にしたい

突然,草刈り部隊の急襲を受ける
 例によって浅い眠りのまま朝を迎えた。午前6時,一人でコーヒーを飲んでいても廻りの目が気になる。早く
撤収しなければと思っていると,7時頃になって数人の男たちが軽トラックでやってきた。それぞれ草刈り機を
携えている。その中の一人に,「すみません,急にパンクしたもので勝手にここでキャンプを・・・」と言いかけ
ると,「いやいやー,折角のところを,ゆっくりできんですまないね。」と薩摩なまりの優しい言葉にやれやれ一
安心である。「すみません,ここは何町ですか?」という問いに「ここ?ここは川辺(かわなべ)町よ」という答
えだった。(鹿児島県川辺郡川辺町,この町は,近いうちに周辺の知覧町,頴娃町と合併するようだ。)
 聞くと,今日の夜この公園で町の夏祭りがあるのでこうして草刈りをするということで,やがて,草刈り部隊は
五〜六十人の大部隊となり,最初から手分けされていたのが,1時間もかからないうちに草刈り完了。続いて
テントの設営などの会場準備に移っている。この手際の良さに,この町の人々の日頃のコミュニケーションの
濃さが想像できるようだ。きっと夏祭りも和やかで楽しい一夜になったことだろう。
午前6時,静かな朝を迎えたが・・・ やがて,朝の静寂を破って草刈り機の音が・・・
あわててテント等を隣の小学校敷地に移動する, 草刈りが終わった広場では夏祭りの準備が始まった


日目 2006.8.15

町のバイク屋さんでパンク修理・・・したはずだったが
 草刈りの人にパンク修理ができるところを聞くと,「そりゃ二輪センターがよかろ。」ということであった。この二輪
センターなるバイク屋さん,ややネーミングに難ありと言おうか,庭先にバイクの残骸やタイヤ,部品,鉄くずなど
が山積みされ,さらにその奥に物置があるという感じである。物置かと思う建物が店舗らしい。だけどその中にも
バイクやバイクの残骸が一杯で,パンク修理も必然的に軒先でやっていると言う感じである。
 このご主人ほんとにバイクが好きなんだろう。自身はカワサキのバルカンやW1が好きで,今でもたまに乗ると
いうバルカンがこれはちゃんと建物の中にある。また,友人との会話の中で「ああ,あのバイクのタンクはほれそ
こに・・・」とか,「そのバイクのカウルはほれあっちに・・・」とか,普通の人が見れば単なるゴミの山だけど,ご主
人には何がどこにあるかまでちゃんと把握されているようで,これはまさに宝の山なのである。
 バイク談義は弾んでいるが,パンク修理は暑いせいかうまくいかない。パッチがはがれていて一度やり直しと
なった。やっとできあがり,元通りに荷物を積んで,いざ出発。あ,そうだ朝飯まだだった,とにかく朝飯食べよ。
35℃を越える猛烈な暑さの中のパンクの修理,日除けのよしず越しに強い陽射しが・・・
バイクの墓場みたい,でもたくさんのお宝が・・・・・ 「気いつけてな・・・」「ありがとうございます」

またまたパンク・・・万事休す
 とにかく一番近いファミレスをナビに入力して,その指示通りに走り,着いたファミレスで朝食をとる。そして作戦
会議というか,さあてこれからどう走ろうか。結局,「今回は開聞岳登山はあきらめ,今晩は温泉に入りたいよな。
よし,では霧島方面に向かおう。」ということになり,北上を開始する。
 しかし,鹿児島市内まで10km程度のところで,再び友人のバイクのタイヤがペシャンコになっている。「また
パンクかよ。修理しっかりできていたのかね?」と,さっきの人の良い二輪センターのご主人の顔を思い出す。
 まあ,仕方ないさとここは開き直るしかない。レッド○○○という全国展開のバイク屋に電話してみると最初は
出張修理に来てくれるということだった。待てど来ないので再度確認すると,我々の現在地を間違って把握して
いたらしく,出張修理はできないということだった。仕方なく,友人のバイクはパンクしたまま自走することになる。
ここに至ればタイヤも救えないと思うが,致し方ない。救いはナビの活用で最短距離でたどり着いた事かな。
なんでか,周囲にバイク屋やスタンドなどの影も形も見えないような所でトラブルが発生するのだ
ここなら修理も間違いなさそう,でも結局ここでチューブ,タイヤ交換となった 今晩の温泉を楽しみに・・・

霧島温泉めざして,鹿児島市内を抜ける
 タイヤ,チューブ交換の間に近くのバーガーショップで昼食を取る。レッド○○○を出発する時には午後3時半
を過ぎようとしていた。繁華街を通り抜けて,私学校跡を正面に見ながら右折して錦江湾沿いを北上する。
 途中の建物の間から見え隠れする桜島。鹿児島市には仕事でつい3ヶ月前に来たばかりだが,力感あふれる
その山容は,いつ見ても言いしれぬ感動を覚える。錦江湾に悠然と浮かぶ姿自体が,「素晴らしい」の一言だ。
市内随一の盛り場天文館通りを走り抜ける 桜島,いつ,何度見てもこの勇壮な姿に感動する
錦江湾沿いに北上する,桜島が後ろに遠ざかる 桜島を見るためにコンビニ停車をしました
フロントマスクのメカニックな感じがGood でも,後ろから見たら,まったりとした感じですね

霧島温泉で癒される
 昨日がハードな夜だったので,今日はキャンプを止めて民宿泊まりと決定。いつも夜遅くまで走っている我々
としては珍しく早い時間に霧島神宮に到着し,観光案内所で民宿を紹介してもらう。紹介された宿は霧島神宮
のすぐ門前にあった。写真は撮れなかったが,「たれ流し」じゃなかった「かけ流し」の濁り湯の温泉があったし,
食事も心づくしの料理で本当に気持ちよく癒された一夜だった。

 翌朝,民宿前を9時過ぎに出発,折角ここまで登ってきたのでとりあえずえびの高原まで登って,そこでモー
ニングコーヒーを飲むことにする。そのあとはただひたすら下って,水俣発13時10分のフェリーに間に合いたい
というのが今日の最大の目標である。
濁り湯の霧島温泉,最高に気持ちよかった 心づくしの料理をいただきました
2台とも145/430Mhzアンテナ装備 当面の目的地水俣港をセット中 今日の宿泊者は我々2名のみ
霧島神宮の門前,民宿が数軒並んでいましたがほとんどが営業休止状態でした

日目 2006.8.16

えびの高原まで登ってみる
 9時過ぎに民宿を出発してえびの高原をめざす。出発前に霧島天然水を民宿の人から分けてもらう。これで
コーヒーを淹れるときっとおいしいはず。えびの高原までの距離は約25Km,約30分の行程である。快適な登り
のコーナリングを楽しみながらと言いたいが,すこし左に傾けるとすぐにセンタースタンドがガガーと鳴くので,
それなりに楽しみながら登っていく。
 途中で,道路の右側に丸尾の滝という,小さな滝が見えたので小休止。小さな滝だが,玄武岩らしい節理の
岩盤から落ちる姿が絹のカーテンみたいで風情があった。さらに20分ほど登っていくとえびの高原に出た。
ここは,売店も休憩所もさびれた感じである。とりあえず有料駐車場にバイクを入れてコーヒーを入れる。ここ
で一時雨模様になったこともあって少しゆったりと過ごす。 
そんなにハイペースでコーナリングするわけではないが,バンク角が浅いのが残念だ
丸尾の滝,猛暑の夏といっても,まだしのぎやすい朝の時間帯であるので滝の涼感は感じなかった
松林の中でコーヒーを淹れかけたら雨,休憩所のテラスに移動する
幸い雨も止んだので出発したら,しばらくして鹿の家族と遭遇した 雨で少しだけ煙っている

ただペースを落とさぬようにと水俣港へと走る
 さて,次の目的地は水俣港。13時必着が絶対条件である。13:10発の水俣〜本渡フェリーに間に合いたいのだ。
道は大して混んでいないので快調に距離を稼ぐが,猛烈な眠気が襲ってくる。途中で小休止して,また走り出す。
目的地に近づくにつれて,ナビの情報により間に合う目途はついてくるが,最後の詰めの市街地走行が気になる。
幸いにも市内に入っても小さな町だけあって渋滞はなく,無事12時50分頃に到着した。
 フェリーターミナルのある場所は水俣湾の埋め立て地で,5月に仕事で来た水俣病資料館もする近くにあった。
なんか今度のツーリングは5月の仕事の旅の復習をしているみたいだ。
 
途中あまりにも眠たくて,たまらず小休止,右側→の写真を撮っています
13時少し前に水俣〜本渡フェリーに乗船,昼食を喰いそびれカップ麺を食べる
本渡瀬戸には,中央部分が昇降するようになっている開閉式の橋があった
真夏の,それも盆に走るライダーは少なようで,このフェリーもバイクの利用者は我々だけだった
15時50分,本渡港に到着,盆の混雑期の幹線道路を避ける意味ではいいルートだった
鬼池港でフェリーに乗船,最後の船旅 小浜のJAで最後の給油

夏の終りの花火
 あと30分足らずで帰着というところで,前方で花火が上がっている。まるで
我々の今回のツーリングが,あれこれトラブル続きだったにしろ,まあ無事に
終わることを祝っているようだった。
 バイクを停めて,写真を撮影しながらしばらく花火大会の観客となる。まだ
しばらくは暑い夏が続くであろうが,我々の夏休みはもう終り。一夏の終りを
感じさせてくれる花火であった。私のデジカメDMC-LX1には折角花火モード
があるのに,忘れていて・・・・でもまあなんとか写ってはいた。

                         <2006.10.20掲載完了>

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