生月島・あごだしラーメンツーリング<2006.1.29()>

はじめに
 
1月にしては気温は高いが空模様は今ひとつ晴れてくれない。でも,1月のツーリングは今日がラストチャンスである。
11時過ぎ,とにかく第一目的地を長崎県平戸市として西の方に向かって走り出す。最終の目的は生月島のあごだしラ
ーメン。きっかけは1995年の5月,友人と生月島に出かけたとき見かけた「あごだしラーメン」という看板。横目で見な
がら通り過ぎてから11年間,ずーっと頭から離れず,いつかは喰ってやるぞと想い続けて来た。今日こそこの想いを遂
げる時なのだ。
 まあ今回はこんな単純な動機なのである。バイク乗りはとにかく走っていればご機嫌なのだが,こんなちょっとしたこだ
わりの目的があれば,走る楽しみも倍加するというわけである。
伊万里市街入り口を右折して伊万里バイパスへ 直進は国見有料道路経由佐世保,右折して平戸方面へ

旧田平町平戸口
 北松浦郡田平町は2005年10月1日に平戸市,大島町,生月町,田平町合併したことによって消滅した。平戸大橋が
建設される前までは,平戸島への人や物資の輸送で賑わったが,1977年に大橋が完成してからは町のにぎわいも少
なくなってしまった。映画フーテンの寅さんシリーズ第20作「寅次郎頑張れ」はマドンナが藤村志保で平戸島ロケの作
品である。これが公開されたのが大橋完成の年1977年の12月である。この時には大橋が完成していたはずだが,映
画では渡し船のシーンしか登場しなかったような気がする。まあ,映画的には渡し船が絵になることは間違いないが。
1時過ぎに田平市街地に入る 本土側から見た平戸大橋 1977年4月開通,通行量100円

平戸島を横断して生月島へ
 平戸島に入ると見晴らしのいい川内峠を走るコースもあるが,今回は観光客向けのリゾート風ホテル等がある東南岸を
走る。10分ぐらい走ると,途中から右折し山地を横断し西北岸に出る。カーブの続く山中の道を抜けると道路は高い断崖
の上を走るようになり,右前方に生月島が横たわっている。やがて薄いブルーの生月大橋が眼下に見えてきたら,もう目
の前が生月島である。料金所で150円を払い,狭い海峡に架けられた大橋をあっという間に走り抜け生月島に到着した。
橋を渡り終えるとすぐ左側にある道の駅で小休止とする。天気は雲が広がり,朝は少し見えた晴れ間も見えなくなった。
この坂を下ると料金所 全長960mの生月大橋 1991年開通,料金150円(経・二輪),向うは平戸島

眼下に広がる海を見ながら
 道の駅を出るときには時計は午後2時を廻ろうとしていた。集落の入り口で左折して西海岸沿いに北上する。この生月
島は玄武岩の台地状の地形をなしているので,島の周回道路は海岸から数十メートル高い場所を走っている。そのため
に,走りながら高い位置から眺める東シナ海がとても気持ちがいい。
曇りの天気が残念だが,眼下に東シナ海を見て爽快な走り この道路は農道で,所々に「牛に注意」の立て札がある
斜面の至るところが耕され棚田となっている 車も少なく快適に走れる。奥に見えるのは平戸島の山

地球の形が見える大バエ断崖
 ここ生月島は昨年10月1日に市町村合併によって平戸市となったが,合併前には北松浦郡生月町として人口8000人
を擁する単独の町であった。しかし,その人口の割には島の西側の農道の沿線には人家は少ない。車も少ないのでゆっ
くりと海を眺めながら走ることができる。そして10分も走ると島の北端にある大バエ断崖に達する。駐車場にスカイウエ
ーブを停めて数十mも歩けば,断崖の上に建つ白い灯台が目に入ってきた。大バエ灯台である。この無人灯台には展望
台も併設されていて自由に登ることが出来る。
 壱岐や対馬も見えるのだが,今日はあいにくの曇り空。しかし,ぐるっと見渡せば300度ほどの水平線が見えるし,そ
の水平線は地球の丸さに沿って大きな円の一部のように見えるのである。このような大きな景色を見れば,日々の人間
の悩みなんてちっぽけなモノだ。この大バエ断崖に来るのは3回目ぐらいであるが,本当にここは心も体もリフレッシュで
きる場所である。
 高さ100mはあるという断崖の下で釣りをしている人が小さく見える。このほぼ垂直の断崖を降りることが出きる者はい
ないだろうから瀬渡し船で来たのであろう。
この後ろに300度の第パノラマが広がっている 下の岩礁には釣り人の姿が 展望台付きの大バエ灯台
天気が良ければ海の色はもっときれいなのだが・・・・ 玄武岩の断崖の高さは約100mはあるという

あごだしラーメン
 ゆっくりと景色を味わっていたらいつの間にか3時を廻ろうとしていた。次の目標はいよいよ本日のメーンイベントの
「あごだしラーメン」である。スカイウエーブを駐車場から出して島の南部,町の中心部に向かって走る。確か,生月大
橋に向かう道の左側に看板があったような・・・と思いながら走っていたら,「あごだしラーメン」という看板があった。
店の名前は「大気圏」。本当の由来は知らないが,大バエ断崖で大空と水平線を眺めて気宇壮大になった気分に大
変マッチした店名である。
 店はカウンターに7〜8席あるほか,土間と座敷のテーブルで30名ほどは入れそうで,この日もカウンターに2名,
土間のテーブルに2名,座敷のテーブルには10名ほどが入っていた。「あごだしラーメン」は生月で獲れるトビウオを
スープのだしに使用して作るラーメンのことで,トビウオのことをこの地で「あご」と呼ぶことから,「あごだしラーメン」と
よぶことになるのらしい。
 ほどなくしてでてきた「あごだしラーメン」は,透明なスープに,具は鳴門,チャーシュー,もやし,キクラゲ,ネギ,麺
はやや太めのこしのある麺である。味はあっさりした塩味系。日頃豚骨ラーメンを主として食している九州人にとって
はちょっと変わったラーメンという感じであるが,特に魚のだしということを意識することもなく,あっさりしていておいし
かった。
アジア系の雰囲気がある「大気圏」 透き通っただしの「あごだしラーメン」600円

雨に降られないうちに
 天気は下り坂である。夕方には雨になりそうという予報に,急いで帰途につく。帰りはほとんど休憩なしに走ったが,
スクーターはさすがに疲れは少ない。最初は気になっていた乗り心地の悪さであるが,なんといってもギア操作がない
ことによる疲労度の軽減が大きい。ギアが無いということはクラッチ操作も無いということ。おまけに大きな風防で風の
影響も最小限にとどまるから,バイクと違って休憩をとる回数が少なくてもOKとなる。
 雨にも遭わずに,余裕を持って午後5時半ごろには帰着した。お土産として「大気圏」店内で販売されていたラーメン
を早速調理してみた。もちろん本物には及ばないが,さっぱりした「あごだし」の雰囲気は出ていたようだ。買って帰れ
ば話の種ぐらいにはなるだろう。(2006.2.28掲載完了)
帰り道の生月大橋,向う側が平戸大橋 本日の走行196km,半日コースとしてほどよい距離
「大気圏」のあごだしラーメン,5食入り1050円 調理例,麺の上の生ハムとノリはついていません

 ツーリングの記憶に戻る